第9回ワーカーズ・コレクティブ・ジャパン全国大会報告

第9回ワーカーズ・コレクティブ・ジャパン(WNJ)全国大会が2009年12月5日(土)および6日(日)に、さいたま市で開催された。全国各地から600名近い人たちがこの場所に駆け付けたが、そのほとんど(9割以上)が50代から60代の女性であり、全国各地に散らばっているため日頃は目にすることができない仲間に会って交流を行っていた。この報告書を作成する上で、WNJによるレジメが非常に役に立ったことから、その点でWNJには感謝の念をお伝えしたい。

ワーカーズ・コレクティブ・ジャパンは1993年より2年ごとに全国大会を開いており、県支部などがこれに参加している。日本初のワーカーズは1982年に神奈川県で生まれた「にんじん」であり、その後東京都や千葉県などでもワーカーズが設立された。これらの多くが、食や子育ておよび老人介護といった当時満たされていなかった社会的ニーズを満たすために、当時すでに日本各地に広がっていた消費者生協による取り組みとして生まれたことに留意することが非常に重要である。言い換えるなら、ワーカーズの大部分は既存の消費者生協と緊密な関係を持っており、これによるメリットおよびデメリットがあるが、それについては後述する。また、数十のワーカーズがある都道府県もあれば全くないところもあるなど、ワーカーズ運動の広がりには地域的にかなりバラつきがあるのも確かである。

会議は、土曜午後に同時に開催された分科会7つから始まった。第1分科会では、現在日本にワーカーズを律する法律がないことから、その立法について議論が行われた。2011年4月に施行される保険業法の改正により共済組合に悪影響が出ることから、それに関する対策が話し合われた。立教大学の藤井敦史先生は韓国の社会的企業育成法について発表を行い、この法律が労働組合と反貧困運動の成果であることを指摘した上で、社会的脆弱階層に対して雇用および/あるいは社会サービスを提供する企業であれば社会的企業とみなされ、税金の控除や補助金などのサポートが受けられることを紹介した上で、日本に向けた戦略を提唱した。その後大河原雅子参議院議員が、法律の制定に向けたプロセスの概要を紹介した。第2分科会ではワーカーズが提供する子育ておよび老人向けサービスが取り扱われ、4名の発表者が毎日の活動について発表し、それによる利用者の生活向上の様子を紹介した。

第3分科会は食関連のワーカーズに関するものであり、その厳しい現状が紹介された上で議論された。首都圏では63のワーカーズのうち28が赤字経営となっているが、発表者は神奈川県が他都県と比べて業績が好調であることに着目し、その理由として老人介護などの分野で生活クラブ生協と食関連ワーカーズとの緊密な関係によって経営が好調であるのではないかという推論を述べた。弁当の多くは500円を超える値段であるが、現在のデフレ下にある日本では他の店が200円からという非常に安い価格で弁当を販売している現状を踏まえると、これらワーカーズの意義を理解している消費者でも経済的なオプションを選択してしまうことを忘れてはならない。

第4分科会はワーカーズの経営に関するものであり、老人介護、子育て支援、食関連などにおいて5つの成功例が紹介された。千葉県佐倉市の素晴らしい事例では、使用済食用油の回収やリサイクル、有機食品や弁当の販売など多角経営を行い、経験により時給1,000~1,300円を会員に支払っており、販売の停滞時にはチラシを近所に配っている。第5分科会では子育て支援について取り扱われ、地域社会におけるハブとしての子育て支援センターの意義や、労働集約型サービスであることからの高コスト問題が話題になった。

第6分科会では、消費者生協とワーカーズの緊密な連携による地域社会の創造が取り扱われた。神奈川県のある事例では、広告網や自主管理経営の経験など消費者生協の既存の資源をフルに活用し、高齢者介護における市民参加を推進している。別の発表者は、別の消費者生協とワーカーズとの合弁事業として福岡に設立された社会福祉法人について紹介した。第7分科会では地域社会で誰もが働く可能性が模索され、皿洗いサービスやパン屋、弁当サービスなど、引きこもりの若者や障害者など、ワーカーズに参加する前に社会的疎外に苦しんだ人たちに雇用を生み出している事例が紹介された。

日曜日の午前は、埼玉県副知事などによるあいさつから始まり、その後都市農業サポートから子育て支援や弁当サービスなど、新規ワーカーズ6つの原案発表が行われた。WNJは今回初めて、ワーカーズという概念を広く伝える目的で、外部の若者にこのような事例発表を依頼しており、参加者は原案の実現性を分析するというよりも、そのユニークさを楽しんでいた(大学生のプロジェクトの中では、教授の懐を大いにあてにしていたものもあった)。午後にはワーカーズ製品の販売や食関連の問題、NPOバンクや若者関連の問題などで9つのワークショップが開催された。

今回の全国会議は、私にとって日本のワーカーズの実践例を知る事実上初めての機会であり、その功績および課題を伺い知ることができた。ワーカーズと消費者生協との間での強いつながりは、食関連のワーカーズにおいて他の連帯経済の担い手から有機食品などを手に入れることができるという点で有益だが、それによって原材料が高くなり事業の採算性が下がるという点も挙げられる。このように高い原材料ではなく、通常の流通網から別の材料を手に入れることができればコストパフォーマンスも改善するだろうが、消費者生協の精神を他の社会経済分野にも広める方法としてワーカーズが構想されていることから、実際に別の流通網に移行するようなことはないだろう。

また、ワーカーズで働く人の多くが最低賃金未満しか得られておらず、そのことから生活するには他の収入源(夫の収入あるいは年金)を持つ必要がある点も忘れてはならない。この事実により、ワーカーズがあまり稼ぎを心配しなくてよい中流から上流の主婦や年金生活者のみのためのものであるという誤解が起こる可能性があり、男性が家族を養えるような雇用を生み出すためには別のビジネスモデルを生み出すことが早急に求められている。この点では、社会的企業に関する韓国の法律の達成事項を研究した上で、その中でどの要素を日本の法制度に適用するのかを見極めたり、ヨーロッパや中南米など別の大陸にあるワーカーズとの交流を促進したりすることが非常に有益であろう。

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