Archive for 2011年10月

社会的経済法に関する連続講演会(スペイン・バレンシア市)

10月 7, 2011

社会的経済法に関する連続講演会が、スペイン・バレンシア市のカハ・ルラル(農村金庫)の会議室で2011年10月6日に開催され、同年3月に可決された同法の重要性についての評価が行われた。スペイン経済の中で重要な役割を果たす同部門について、3名が連続して発表を行った。同法の主要部分の邦訳はhttp://ecosoljp.wordpress.com/2011/04/27/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%9D%A1%E6%96%87/ で、および全文はhttp://www.boe.es/boe/dias/2011/03/30/pdfs/BOE-A-2011-5708.pdf (スペイン語)あるいはhttp://www.socialeconomy.eu.org/IMG/pdf/LEY_E_SOCIAL_TRADUCCION_INGLES.pdf (英語)で読むことができる。

最初に発表したスペイン社会的経済企業連合会(CEPES, Confederación Empresarial Española de la Economía Social)のカルメン・コモス(Dr. Carmen Comos)理事長は、同法の編成における経験を語った。同連合会に同国の社会的経済関係団体のうち85~90%が加入していることから、国会議員らに対して同連合会が業界を代表しており、法律の制定のための準備交渉を始めるべく説得することは簡単であった。2008年の総選挙直後にCEPESは同法の制定という考えを全政党に提案する一方で、内部でも議論を重ねて、あまり詳細に立ち入らない形でわずかな条項の法律にするという合意に達した。2009年2月にCEPESと労働移民省との間でそのためのプロセスの対話が始まったが、その交渉は必ずしも平和なものではなく、数多くの議論を引き起こした。彼女は以下の点を強調した:

  1. 全会一致による法律の可決
  2. 雇用および収入を生み出す点における、社会的経済の貢献の認識
  3. 公共部門と社会的経済のプレイヤーとの間での対話チャンネルの確立
  4. 社会的経済を推進するという、スペイン政府および/あるいは各州政府の義務
  5. 実業界および学会に対する、社会的経済の視覚化

とはいえ、統計の作成や公共政策の実施により、社会的経済の発展における障害を除去するために、同分野の成長を促す上で課題があるのは確かである。
次に発表したIUDESCOOP(社会的協同経済大学研究所、Instituto Universitario de Economía Social y Cooperativa) およびバレンシア大学のヘンマ・ファハルド(Dr. Gemma Fajardo)は、この法律で制定されている内容を説明した。彼女はまず、2009年2月の社会的経済における欧州議会の決議(英語版は http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?type=TA&reference=P6-TA-2009-0062&language=EN で)がこの法律の推進において重要な役割を果たしたと語り、NPOや協同組合など社会的経済の各活動についての規定を変更することなく、それら全てを同じ枠組みに入れたのがこの法律であると説明したが、経済活動の種類ではなくその運営方法こそが社会的経済の目的の達成において考慮されるべきであるため、同経済の担い手の定義については非常に批判的であった。また、同法では各州政府が社会的経済の推進を担当することになっているが、スペイン憲法の第131条では経済活動を推進するのは中央政府であることから、その点の矛盾も示された。さらに、社会的経済憲章では明確に規定されている「自主的かつ開かれた組合員制」が同法では抜け落ちている点についても疑問を呈した。
最後に発表した、同じくIUDESCOOPおよびバレンシア大学のホセ・ルイス・モンソン(Dr. José Luis Monzón)は、社会的経済部門に対する分析を行った。彼はまず、スペインが欧州で始めて、欧州議会や学術調査に由来する定義によりこの法律を制定したことを強調し、公共政策の編成のためにこの部門の代表が政府と対話を行うことができるようになっていると語った。また、社会的経済は同国経済の10%を占めており、100万人以上を雇用していることなど、さまざまな数字でその規模を示した。

この法律が社会的経済を推進する上で貴重な土台となっている点については疑問の余地はないが、社会的経済が本当の意味で推進されるためにはまだまだ多くのことがなされる必要があることも確かである。スペインではまだほとんどの人が社会的経済を理解していないことから、各州政府が社会的経済についての情報を提供したり、研修講座を開いたり、会議および/あるいはさまざまな公共政策を実施したりして、協同組合やNPOなどの発展を加速させて、これら経済活動が全体として認知されるようにすることが今すぐ求められる。

さらにもう一点、今回の発表が非常に欧州中心的であり、中南米(特に連帯経済局ブラジル連帯経済フォーラムが二人三脚で同部門を推進してきたブラジル)、カナダ(特にケベック州)およびアフリカなど他の大陸で起きている同様の動きについての言及がなかった点が残念である。私がこう思うのは、おそらく中南米に焦点を当ててきた私の活動ゆえなのかもしれず、スペイン政府が構築している国際協力の多くが欧州連合を通じてのものであることも認めるが、スペイン国内の社会的経済の推進者が欧州外のパートナーとの対話を始め、相互学習のチャンネルを構築できれば非常に有意義なこととなるであろう。

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